鳥取県西部地震により崩壊した斜面の復旧対策検討

ダイニチ技研株式会社  金田 学

 
平成12年10月6日午後1時30分に(旧)西伯町鎌倉山付近を震源とする、マグニチュード7.3の大地震(鳥取県西部地震)が発生した。
その後多くの余震が続き、その分布は震源の断層に沿った細長い帯状の地域に集中しており、当地もその中に含まれている。
震源に近い当地(日野町)では震度6強を記録し、日野町下榎地内の民家裏山において高さ20m幅30mに渡る斜面崩壊が発生した。
崩壊部分の頭部には開口亀裂が存在し、地震後の降雨・融雪により更なる崩壊が懸念された。

震源分布図

 
 

被災地全景

 

頭部開口亀裂

 

頭部開口亀裂

  1.対象斜面の状況把握

復旧工事の設計にあたり、斜面崩壊が進行中であるのか、安定状態を保っているのか、その判断が重要であった
そこで、簡単で実績の多い方法として、ボーリング調査後のボーリング孔にひずみ計を挿入し、ひずみ量を測定し、ひずみが進行しているか否かにより安定度を判定するという方法よった。
 

ひずみ計設置状況

 
                          

調査位置横断図

ひずみ量測定状況

 
ひずみ量測定の結果、余震が続く状況でありながら、ひずみ量の
変化は確認されず、斜面は安定していると判断出来る。
現況安全率を1.0として逆算法により現況の土質定数を求めた。
結果は、
Φ=30° C=3.1kn/m2となった。

2.復旧方法検討

復旧方法は、崩壊した不安定土砂を取り除き、切土法面の表層崩壊を防止するために法枠工を考えた。 先に求めた土質定数を用い、円弧滑りの安定計算を行うと、安全率が
0.85となり1.2に満たない。
そこで、法枠断面を500×500としグラウンドアンカーを併用して必要抑止力(165.24kN/m)を受け持たせる方法を取った。 また、施工中の安全を考え、安全1.0を確保出来る高さ(4.0m)以下とする逆巻き工法で行った。

計画横断面図

アンカー打設状況

⒊工事終了後
 
工事を終了した後、斜面は安定し周辺の植栽も安定している。

完成写真

現在の状況

4.今後の活用について

従来、斜面安定度の判定は目視により行い、現況安全率を仮定し逆算法により土質定数を求める場合が多い。
しかし、本件においては崩壊した斜面の復旧検討だったため、斜面の安定度の判定をひずみ量測定により行った。

この方法であれば、比較的容易に行えるうえ、ボーリング調査と併せて客観的に数値で判定出来るため、適切な復旧工事の設計が出来た。
今後も類似業務には積極的に活用していきたい。